ゴールはひとつではない!

今日の組み合わされた4冊の本の写真をみて、瞬時に共通する人物を見いだせる人とは気が合いそうです。(答え:ピーター・ティールが最も影響を受けた思想家ルネ・ジラール)

ピーター・ティールは、僕がここ数年もっとも気になっている存在としてその動向を追っている、起業家であり、投資家であり、最近は政治にもかなり影響力を発揮している様子の人物です。

そして、その彼を通じてルネ・ジラールという思想家を知りました。

ルネ・ジラールは、極めてシンプルにいうと、人は自分のモデルが欲しがるものを欲しがるといった「模倣の欲望理論」を打ち立てた人です。その功績は文化人類学上のダーウィンに匹敵するという評価もなされているようです。ほんと、すごいです。

以前、大いに刺激を受けたティールの著書である「Zero to One」を介して、「模倣を避ける」ことについて学びました。いやむしろ「独占せよ」と。それ以降、競争=他社の模倣であるということに対してかなり自覚的になってきた感があります。「差別化」もある種模倣の範疇なのです。結局は自分がモデルとする対象(競合相手)が欲しがるものを欲しがっているのですから。

しかし、「Zero to One」にはルネ・ジラールの名前は全くでてきませんでしたので、その時点ではティールにモデルがいるとは知りませんでした。しかしあれこれとストーカーのように彼の動向を調べていくうちに、そもそもルネ・ジラールからかなり影響を受けているらしいということを知り、興味を惹かれたのがきっかけでした。

とはいえ、この思想家の著書は「世の初めから隠されていること」と「欲望の現象学」の2冊しか読めていませんし、それぞれまだ一度しか目を通せていませんので何かをしっかり把握するまでには至っていません。もっと探求していきたい対象です。

さて、ティールやジラールについてはまた別でもちょいちょい書いていくとして、この流れというか延長線上に一冊の本がしばし目にとまっては消えということを繰り返していました。そのタイトルも「欲望の見つけ方 お金・恋愛・キャリア」です。裏表紙には「マーケター・コンサル必携!」とまでありました。

あー、そーいうことね、という感じで見て見ぬふりをしていました。(どーいうことね?)

しかし、別の機会に紹介文をちらっと読んでみると、なんと僕が暇を見つけてはストーキングまでしているあの憧れのピーター・ティール様がルネ・ジラールの入門書的な位置づけとして推薦もしているらしいと。

勿論即ポチでした。これって、まさに模倣の欲望サイクルに嵌っていますね。実際、それはかなり手強いものなのです。

というわけで、一気に読んでみました。ぶっちゃけ従前のイメージが大きく変容しました。頑張って原典を読んでおいたのも功を奏したかもしれませんが、模倣の欲望周辺について現実社会との接点をさぐりつつかなり深堀りされています。いまやこれは必読ですよ!と言い回りたいですし、かなりの確率でジラールを読みたくなること請け合いです。僕自身再読したらおそらく更に理解が深まりそうで楽しみです。(が、それぞれ分厚いので覚悟が….)

つまり、そーいうことね、からこーいうことか!になったのでした。(だから、どーいうこと!?)

というわけで、こちらの本に関してはタイトルに引っ張られ距離をおくことになっていたので、「いやいや、タイトルよく考えたほうが良いのでは?」と瞬発的に感じていました。ルネ・ジラールの思想を”恋愛とかお金とかマーケティングとか”その辺から表面的に追いかけてもねぇ、と。

しかしこの本を読んでいるうちに、実は「模倣の欲望理論」をビジネスに、特にビジュアルイメージ領域に活かしたいという感情を自分こそが強く持っていることに否が応でも向き合うことになりました。何か変な自意識がいろいろと邪魔をして、機会を失っていたのはむしろ自分の方なんだな、と今では思い直しています。

きっとこの本を読んでルネ・ジラールやピーター・ティールに興味関心をもつひとも多いだろうと思いますし、その順番によってまた別の観点を得られるかも知れないですものね。入口が違うと異なるゴールに行き着けるのかも知れません。

そういう意味で、タイトルのミスリードというのは単純に僕にとっての視点であって、実際はミスどころかあらたな読者や、もっというと新たなアイデアが生ずる機会や可能性を広げてもいるのだと考えると、イメージビジュアルにおいてもそういう捉え方があるようにも思います。

例えば「ステレオタイプ」という言葉も誰にとっての「ステレオタイプ」なのか。一周回って有効な「ステレオタイプ」の形態もあり得るということに気付きます。イメージビジュアルの世界こそゴールは一つではないのですから….

そーいうことか!

探求は続きます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です