無形資産

「イメージで世界にどう貢献できるのか」と日々考えていると、それらのイメージ群がどのように人々に到達するのかという仕組みの部分の考察は避けて通れないものだと改めて思う。

流通面では、来たるWEB3時代のあり方が肝になりそう、いや、きっとなってくるはず、いやいや、イメージ創造の側からは是非なって欲しい、という感覚だが、まぁ短期的かつ現実的視点では既存の各種プラットフォームの効果的な活用方法などを突き詰める事は、変化する未来を横目で追いつつも、まだまだ意味のないことではない。

しかし、イメージそのものの価値評価は難しい。ただ発信しているだけでは「いいね数」の獲得に右往左往している状態になりかねない。価値評価はもっと客観的であるべきだ。そこでやはり市場での評価という視点は外せないのではないか。つまり「(金額にしろ数にしろ)売れた総量が人々に届いた価値である」と定義づけるのだ。

その観点(つまりビジネス!)に立つと、あるイメージを具体化したビジュアルは「デジタル資産」であるしそれは「無形資産」であると位置付けられる。

イギリスの経済学者であるジョナサン・ハスケルとスティアン・ウェストレイクは、僕もかなり刺激を受けたその著書「無形資産が経済を支配する(Capitalism without capital)」において有効な無形資産を生み出す無形投資の特徴を下記の4Sとして表現している。

スケーラビリティ:

物理資産は、同じ時間に複数の場所には存在できない。これに対し無形資産は、通常は何度も何度も、同時に複数の場所で使える。

サンク性

企業が無形投資をして、後に撤退したいと思っても、それまで作った資産を売却して費用の回収を行うのは難しい〜そして、一般に、それは有形資産の場合より難しい。経済学者たちはこの種の回収不能費用を「埋没した(サンク)費用」と呼ぶ。

スピルオーバー

一部の無形投資は、異様に大きなスピルオーバーを持っている。つまり、他の企業が他人の無形投資を活用するのが比較的簡単だということだ。

シナジー

アイデアは他のアイデアと組み合わさることで威力を発揮する。これは特に技術分野で言えることだ。

無形資産が経済を支配する

詳細は読んでいただくとして、要は、無形資産としてのビジュアルコンテンツの価値を考える 場合、コンテンツ単体の収益性だけで評価していては色々見逃すぞ、ということだ。少なくともこの4Sを内包したビジュアルコンテンツとは一体どういう存在なのかについての探求を疎かにはできない。

これまで、ビジュアルコンテンツの価値をクリエイティビティの優劣や制作プロセスの革新性・効率性をベースとした収益性で捉えてきたが、そこに異なる側面に目を向けることの重要性を投げかけてくれている。

本書からは、今後も折りを見て引用していく中でより理解を深めていきたい。

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